高麗亜鉛

高麗亜鉛[Korea Zinc Company, Ltd.]は, 1974年4月19日に韓国の重化学工業化政策の一環として設立された非鉄金属製錬会社である.設立の背景には, 1970年代初頭に推進された第3次経済開発5カ年計画[1972-1976]における重化学工業育成政策があり, 特に基礎素材産業の自立化を目指す国家戦略の下で誕生した.設立当初の資本構成は, 韓国産業銀行など政府系金融機関, 国内財閥系企業, 海外資本の出資を含む合弁形態であり, その後の経営権変遷を経て現在に至っている.初期の主要株主には三星グループ系の出資も見られ, 韓国財閥による重化学工業分野への進出を象徴する企業の一つであった.

高麗亜鉛は, 亜鉛を中心とする非鉄金属の製錬・精製を主業とする韓国最大の亜鉛製錬企業である.主力拠点は韓国・蔚山広域市の温山国家産業団地に立地する温山製錬所であり, 年産約60万トン規模の亜鉛地金生産能力を有する世界有数の単一製錬所として機能している.同製錬所では, 世界各地から調達する硫化亜鉛精鉱を原料として, 焙焼, 浸出, 電解, 鋳造の各工程を経てロンドン金属取引所[LME]の規格に適合する高純度亜鉛地金[SHG:Special High Grade, 純度99.995%以上]を生産している.

同社の製品群は多岐にわたり, 主力の亜鉛地金に加え, 鉛地金, 金・銀などの貴金属, カドミウム, インジウム, ガリウム, ゲルマニウム, 硫酸などを生産している.これは硫化精鉱に含有される有価金属を高度に回収・精製する技術力に基づくものであり, 同社が非鉄金属製錬を高い回収率で統合運営する体制を築いてきたことを示すものである.特にインジウムについては世界有数のシェアを占めるサプライヤーとしての地位を確立している.

国際展開においては, 1990年代後半に豪州クイーンズランド州タウンズビルに Sun Metals Corporation Pty Ltd.を設立し, 1999年に操業を開始した.現在では完全子会社として運営しており, 年産約20万トン規模の亜鉛地金生産能力を有する.これにより同社グループ全体の亜鉛地金生産能力は世界上位規模に位置している.この二極体制により, 原料調達の多様化, 為替変動やエネルギーコストへの対応, 顧客への安定供給を実現している.

サプライチェーンマネジメントにおいては, カナダ, ペルー, オーストラリアなど世界主要鉱山会社との長期契約を通じて亜鉛精鉱を安定的に確保している.製錬工程では, 主としてRLE法[Roast-Leach-Electrowin]を採用し, エネルギー効率と金属回収率の最適化を図っている.ISP法[Imperial Smelting Process]は鉛・亜鉛の複合処理技術として世界的に知られるが, 高麗亜鉛の主力プロセスはRLE法であり, ISP法の直接的な併用は行っていない.

需要構造の変化に対応し, 従来の防錆めっき用途に加え, リチウムイオン電池, 太陽電池, LEDなど新エネルギー・電子材料分野への高純度金属供給を強化している.とりわけ, インジウムやガリウムなどテクノロジーメタルの安定供給者として, 電気自動車や再生可能エネルギー市場の成長に対応する戦略的地位を高めている.

同社は韓国取引所に上場する素材企業として, 売上規模で数兆ウォン, 従業員数で数千名規模を維持しており, アジア太平洋地域の非鉄金属サプライチェーンにおける中核的役割を担っている.



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