
穎崴科技(WinWay Technology Co., Ltd.)は、半導体テストインターフェースの専業メーカー。ロジックIC等の検査に使用されるテストソケット(Test Socket)やプローブカード、ICテスト用のチェンジオーバーキット、温度制御システムなどの開発・製造する。エヌビディアの主要サプライヤーであり、ファイナルテスト(FT)用プローブやテストソケットを供給。半導体テストソケット市場では米国のコフ(Cohu, Inc.)に次ぐ。時価総額は約81.5億ドル(2026)。
穎崴科技は、2001年4月10日、台湾南部の高雄市で設立。創業の中心となったのは王嘉煌であり、同氏は設立当初から現在に至るまで董事長(会長)を務め続けている。会社設立の場所は高雄市楠梓加工出口区であり、台湾の伝統的な輸出加工拠点としての性格を持つこの地域が、後年の生産拠点拡大の礎となった。創業の動機は単純明快であり、IC(集積回路)のテスト工程において顧客が直面する技術的課題を解決することにあった。当時、台湾は既に世界的な半導体受託製造の中心地としての地位を固めつつあり、ウエハーの製造から後工程のパッケージング、そして最終テストに至るまでの一貫した供給網が急速に整備されていた。穎崴はこの供給網の中でも特にテストインターフェース、すなわちICチップと検査装置とを電気的に接続するためのソケットやプローブカードといった精密部品の分野に照準を定め、世界水準の半導体メーカーの開発速度と歩調を合わせながら技術を同期的に開発していく方針を掲げて事業を開始した。創業から間もない2002年には、ICチップ検査治具に関する複数の特許認証を取得しており、早い段階から知的財産権を重視する姿勢が確立されていたことがうかがえる。
2003年には、北米市場の顧客により迅速な技術サポートを提供することを目的として、北米に分公司(現地法人)が正式に設立された。半導体業界における主要な設計拠点や大手顧客の多くが米国に集中している状況を踏まえれば、この北米進出は市場への近接性を確保するうえで理にかなった判断であったといえる。翌2004年には、CMOSイメージセンサー向けおよびBGA(ボールグリッドアレイ)パッケージ向けのテスト治具を正式に発売し、製品ラインの多様化に着手した。2005年には桃園工場が落成し、生産能力の拡大が図られた。2007年には事業と顧客サービスを統合する形で新竹分公司を設立し、台湾北部に位置するハイテク産業の集積地である新竹サイエンスパーク周辺の顧客との連携を強化。2008年には高雄工場が落成し、同年にはATC(アクティブサーマルコントローラー)と呼ばれる能動的な温度制御装置を正式に発売している。半導体のテスト工程では発熱の制御が精度に直結するため、こうした周辺装置の開発は同社の技術的な守備範囲の広さを示すものであった。2009年にはWLCSP(ウエハーレベルチップサイズパッケージ)向けのプローブカードおよびケルビン接続技術を、2010年にはサンドイッチ構造の同軸式テストソケットを、それぞれ市場に投入し、微細化と高速化が同時進行する半導体パッケージング技術に対応する製品群を着実に積み上げていった。
2011年には、WLCSP向けの微細ピッチプローブカードおよびダイレクトドッキング方式のソリューションを発売し、より高密度な検査ニーズに応える体制を整えた。2012年12月には台湾本社の新社屋が落成し、同年、半導体テストに関する国際的な技術展示会であるBiTSワークショップにおいて研究開発成果を発表するなど、対外的な技術発信にも力を入れるようになった。2013年には、台湾経済部が優良中小企業を表彰する第22回国家磐石奨、および経済部第16回小巨人奨をそれぞれ受賞し、台湾国内における技術型企業としての評価を確立した。2014年にはTEC(テストエンジニアリングセンター)を設立するとともに、米国の老舗テストソリューション企業であるウェントワース・ラボラトリーズ社が有するセイバー(Saber)プローブ方式の垂直プローブカード技術を買収した。この買収は、自社開発による内製技術と海外の先端技術とを組み合わせることで、より高度な検査ソリューションを構築しようとする戦略の表れであった。2015年にはブラウニー(Brownie)と呼ばれる同軸式テストソケット、および高速伝送を意識したEフラックス(E-Flux)を発売し、2016年には高機能な温度制御システムであるHEATConを投入した。2017年には、より微細なピッチ幅0.4ミリメートルに対応したブラウニー同軸式プローブカードを発売し、高周波・高速伝送領域における製品の高度化を進めている。
2018年には高雄本洲工場が新たに設立されるとともに、新竹にプローブカード専門の生産拠点が設けられ、ピッチ幅0.35ミリメートルの同軸式バーンインソケットや、80マイクロメートルピッチのプローブカードソリューションが相次いで市場投入された。2019年には、第15回金炬奨における年間十大優良かつ潜在力企業の一つに選出されるとともに、台湾の店頭市場を運営する証券櫃檯買賣中心(現在の台湾櫃檯買賣中心)から公開発行の承認を得て、同年8月23日付で株式の公開発行が認可され、11月19日には台湾における株式の店頭登録市場の一つである興櫃市場への登録が承認された。2020年には、高雄楠梓科技産業園区において半導体高度製造センターの建設に32.5億台湾ドルを投じる計画を発表し、大型パッケージ向けのブラウニー検査ソリューションも同時期に展開された。こうした一連の設備投資は、半導体の後工程における高付加価値化という業界全体の潮流を先取りしたものであったといえる。そして、2021年1月20日、穎崴科技は台湾証券取引所に上場。興櫃登録からおよそ1年余りという比較的短い期間での本則市場上場は、同社の財務内容と成長性に対する市場の評価の高さを反映していた。
上場後の穎崴科技は、スマートフォンやパーソナルコンピュータ向けの需要に加えて、人工知能および高性能演算(HPC)分野における半導体テスト需要の急拡大という追い風を受けることとなった。生成型人工知能の普及に伴い、クラウドサービス事業者が人工知能演算基盤への設備投資を拡大させたことで、大型パッケージ、大電力、高周波高速伝送に対応した検査インターフェースへの需要が急増したのである。同社はこの潮流をあらかじめ見据え、高速同軸式テストソケットや垂直プローブカードの生産能力を段階的に引き上げるとともに、独自開発の高速植針交換機を含む自動化設備の導入を進めてきた。2024年には人工知能関連およびHPC関連の需要に牽引されて年間売上高が過去最高を更新し、初めて55億台湾ドルの大台を突破した。2025年には人工知能用の画像処理装置や特定用途向け集積回路の需要拡大がさらに追い風となり、第1四半期の売上高は前年同期比で2倍以上に達するなど、上場以来最も高い成長率を記録した年となった。同社はこの間、多国で特許を取得した新世代のハイパーソケット(HyperSocket)や、光通信分野におけるチップレベルでの共同パッケージ光学(CPO)検査システムなど、次世代の実装技術に対応した製品群を相次いで投入し、単なる検査部品の供給者から先端半導体の性能を引き出すためのソリューション提供者へと事業の性格を発展させてきた。2026年9月時点における同社の時価総額は台湾証券取引所において2500億台湾ドル前後で推移しており、当時の為替水準に基づけば米ドル換算でおおよそ80億ドル台に相当する規模に達している。高雄の一地方都市で生まれた小規模な検査治具メーカーが、四半世紀の歳月を経て世界の半導体サプライチェーンに不可欠な高度テストインターフェースの供給企業へと成長を遂げた過程は、台湾半導体産業の裾野を支える中堅企業の典型的な発展軌跡の一つとして記録されるべきものである。
第1版:2026-09-09.
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