九龍倉集団有限公司.The Wharf(Holdings)Limited.
九龍倉集団有限公司[The Wharf [Holdings] Limited]は,香港に本拠を置く不動産・インフラ関連企業であり,1886年に設立された香港で17番目に登録された会社として長い歴史を持つ企業である.その起源は1886年に設立されたThe Hong Kong and Kowloon Wharf and Godown Company, Limitedに遡り,これは当時の香港における貿易活動の拡大と,九龍半島への経済的関心の高まりを反映したものであり,同社はビクトリア港を中心とする倉庫業および埠頭事業の中核を担っていた.
当時香港の商業界で大きな影響力を持っていたジャーディン・マセソン商会[Jardine Matheson & Co.]が九龍倉の設立母体の一つとされている.ジャーディンは当時の香港における主要な貿易商社であり,物流インフラへの投資として九龍倉を設立した.設立当初から外国商社が関与した企業であり,英国統治下における典型的な香港企業の一つである.1960年代からハンセン指数の構成銘柄30社の一つとなっており,香港資本市場における重要な地位を築いてきた.
第二次世界大戦後,香港の工業化・都市化の進展とともに,九龍倉はその所有地を活用し,不動産開発事業に軸足を移していった.その代表例が,かつての埠頭・倉庫用地を再開発して誕生したハーバーシティ[Harbour City]である.このプロジェクトは,商業施設,オフィスビル,高級ホテル,住宅を一体的に開発した複合施設であり,今日に至るまで香港最大級の私有不動産資産として知られている.さらに,香港島・銅鑼湾に所在するタイムズスクエアも,同社を代表するもう一つの商業開発である.同社は象徴的なスターフェリー[Star Ferry]の運営も手がけており,香港の観光・交通インフラにも深く関与している.
2017年,九龍倉はその不動産ポートフォリオの中でも,特に商業用不動産を中心とした香港拠点の資産を切り出し,新会社九龍倉置業地産有限公司[Wharf Real Estate Investment Company Limited]として分離・上場させた.これは,より安定的な賃料収入を得る賃貸主体事業と,開発収益を狙う開発型事業とを組織的に分離する意図によるものであり,収益構造の明確化と株主価値の最大化を狙った再編であった.九龙倉置業は現在もハーバーシティやタイムズスクエアなどの主要資産を保有・運営しており,香港における最大級の商業不動産オーナーの一つである.
ホテル事業においても,九龍倉は現在16のホテルを管理し,5,000室以上の客室とスイートを香港,中国本土,フィリピンで展開している.2017年には,マルコポーロ[Marco Polo]とニッコロ[Niccolo]の両ブランドがワーフホテルズ[Wharf Hotels]として統合された.マルコポーロブランドはハーバーシティ内にあるマルコポーロ香港ホテルなどを中核とし,現在12のホテルがマルコポーロホテルズブランド,5つのホテルがニッコロホテルズブランドで運営されている.2017年には香港セントラル地区の旧政府建物であるマレービルディングを改装したザ・マレー,香港,ア・ニッコロホテルが開業し,より高級志向のホスピタリティサービスを提供している.
九龍倉集団の現在の総資産は1,900億ドル[2024年12月31日時点]に達しており,ウィールック・アンド・カンパニー・リミテッドの子会社として運営されている.同社は長い歴史の中で倉庫・物流から都市開発,不動産投資,ホテル運営へと事業の重心を移しながら,香港と中国本土の都市変容に深く関与してきた企業である.
歴史的資産と都市中核拠点の保有を通じ,九龍倉は今なお香港資本主義の象徴的企業の一つとして存在している.同社はBuilding for Tomorrow[未来のための建設]をミッションとして掲げ,持続可能な都市開発と価値創造を追求している.
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