ジャパンマリンユナイテッド

ジャパンマリンユナイテッド株式会社[Japan Marine United Corporation,略称JMU]は,日本の造船業界における大規模な再編の一環として2013年1月1日に設立された総合造船企業である.その設立は,株式会社アイ・エイチ・アイ マリンユナイテッドとユニバーサル造船株式会社の合併によって実現した.両社の統合は,激化する国際造船市場において,特に韓国や中国の巨大造船企業との競争に対抗するため,日本国内における技術力と生産力の結集を目指すものであった.

出資比率としては,設立当初JFEホールディングスが45.93%,IHIが45.93%,日立造船[現・カナデビア]が8.15%を保有していた.ユニバーサル造船は,住友重機械工業の艦艇・特殊船事業部門を母体に,2002年に日立造船の造船部門を吸収して設立された経緯を持ち,一方のアイ・エイチ・アイ マリンユナイテッドは旧石川島播磨重工業[IHI]の造船部門を継承し,そのルーツは江戸時代の石川島造船所に遡る.これにより,JMUはIHI系の商船建造や大型海洋構造物と,住友系の艦艇・特殊船の分野を補完し合う形で,国内造船の中核企業としての地位を確立した.

JMUは設立当初より,横浜,舞鶴,呉,津,因島などの主要造船拠点を擁し,LNG船,VLCC[超大型原油タンカー],自動車運搬船,コンテナ船,護衛艦,潜水艦,砕氷艦など,多様な船種の建造を手掛けてきた.商船と防衛艦艇の両分野に対応できる体制を持つ点は,日本国内のみならず世界的にも稀な存在であり,造船技術と安全保障の両面から重要な役割を果たしている.

業界再編の動きの中で,2019年11月には今治造船株式会社との資本業務提携が発表され,2020年10月に今治造船がJMUに30%を出資する形で提携が実行された.そして2021年1月には今治造船とJMUの共同出資による新会社 日本シップヤード株式会社[Nihon Shipyard Co., Ltd.] が設立され,出資比率は今治造船が51%,JMUが49%である.この合弁会社は,LNG船を除く全ての一般商船と海洋浮体構造物の設計・販売などを担っており,JMUの商船建造部門はその営業・設計機能を今治造船と統合する形となった.一方,JMU本体は艦艇,特殊船,海洋構造物など高付加価値分野に特化した事業展開へと再編されていった.

LNG船に関しては,三菱重工業との合弁会社 MI LNG を通じて,引き続き独自に事業を展開している.これにより,JMUは高度な造船技術を維持しつつ,防衛関連および高難度の海洋機器の領域に集中することで,企業としての専門性と競争力を高めている.

2025年6月26日,今治造船はジャパンマリンユナイテッドへの出資比率を30%から60%に引き上げ,同社を子会社化する方針を正式に発表した.これはJMUの既存株主であるJFEホールディングスおよびIHIからの株式取得を伴うものであり,船舶開発や資材調達,経営判断の迅速化を通じて,さらなるコスト競争力の強化と国際競争への対応を図る狙いがある.

このように,ジャパンマリンユナイテッドは,江戸以来の造船技術と企業史を継承しつつ,21世紀のグローバル競争の中で柔軟かつ戦略的な再編を経て,日本の造船業界の中核として確固たる地位を維持している.その歩みは,日本造船業の興隆,危機,再生の歴史を象徴するものであり,今治造船,三菱重工業とともに日本の造船産業を支える三本柱の一つとして,今日もなお進化を続けている.



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