サムスン重工業

概要

サムスン重工業(三星重工業、Samsung Heavy Industries Co., Ltd.)は、韓国京畿道城南市に本社を置く、サムスングループ傘下の総合重工業企業。サムスン重工業はHD現代重工業や斗山(トゥサン)重工業などとともに、韓国を代表する重工業企業の一角を占めている。造船事業を軸としつつ、洋上風力発電関連設備やデジタル技術を活用したスマート造船ソリューションなど、新たな事業領域への展開も進めている。造船、海洋プラント、洋上風力関連事業などを主力事業とし、韓国の巨済(コジェ)造船所を拠点として、液化天然ガス(LNG)運搬船やドリルシップといった高付加価値船舶の分野で世界有数の建造実績を誇る。1974年の設立以来、韓国の重化学工業化政策とともに歩み、幾度かの事業再編を経たものの、世界の造船・海洋プラント業界において引き続き重要な地位を占めている。時価総額は約130億ドル(2026年)。

設立の背景と創業期

サムスン重工業は1974年8月5日、サムスングループ創業者である李秉喆(イ・ビョンチョル)により設立された。当時の韓国政府は重化学工業育成計画を国家戦略として掲げており、これに呼応する形で、日本のIHI(石川島播磨重工業)との合弁契約を通じて技術基盤を確立し、造船・重機分野への進出を図ったことが同社設立の直接的な背景である。設立当初はまず昌原(チャンウォン)に工場を構え、その後、羽振(ウジン)造船の買収などを通じて事業基盤を拡大していった。1978年には昌原工場が完成し、翌1979年には巨済造船所の第1ドックが完成して本格的な造船事業が始動した。同年には原油タンカーの初受注も獲得しており、これにより同社は国際市場における造船企業としての第一歩を踏み出すこととなった。

合併による事業基盤の拡大

1983年、サムスン造船と大成(テソン)重工業がサムスン重工業のもとで統合され、これにあわせて韓国重工業建設が保有していた重機部門も買収された。この一連の再編により、同社は造船事業に加えて建設機械やプラント設備の生産体制を備えた総合重工業企業としての性格を強めることとなった。1985年には造船海洋研究センターを設立し、技術開発体制の強化を進めた。1992年には世界で初めてとなるアフラマックス型ダブルハル(二重船殻)タンカーの建造に成功するなど、技術面でも国際的な存在感を高めていった。1993年にはトラックの生産にも参入し、1994年には韓国証券取引所への上場を果たすとともに、建造した船舶の累計引き渡し数が100隻に達している。

1990年代後半の事業再編と造船・海洋事業への特化

1997年のアジア通貨危機は、韓国経済全体に深刻な打撃を与え、サムスングループを含む主要財閥は事業構造の抜本的な見直しを迫られた。この過程で、政府主導による業種間の事業交換(いわゆるビッグディール)や不採算部門の整理が進められ、サムスン重工業も例外ではなかった。1996年には商用車生産部門をサムスン商用車として分社化し、1998年にはフォークリフトおよび建設機械部門を売却するなど、非中核事業からの撤退を進めた。この結果、同社は造船および海洋プラント事業を中核とする経営体制へと集約されることとなり、これが2000年代以降の高付加価値船舶分野への注力につながっていった。

2000年代以降の高付加価値船舶・海洋プラントへの注力

21世紀に入ると、サムスン重工業はLNG運搬船や大型客船など、より高い技術力を要する船種の建造に本格的に取り組み始めた。とりわけLNG運搬船とドリルシップ(掘削船)の分野では世界的なリーダー企業としての地位を確立し、造船技術の海外輸出にも取り組んでいる。同社はまた、欧州の造船企業が長年にわたり優位を保ってきたクルーズ客船市場への参入も図り、2009年にはアジア地域で建造される客船としては最大級となる居住型クルーズ客船「ユートピア(Utopia)」の建造契約を締結した。近年においても、2024年2月にはカタールエナジーからLNG運搬船15隻、契約金額にしておよそ34億ドル規模の大型受注を獲得するなど、同社は依然として世界の海洋輸送・エネルギー関連船舶市場において主要な担い手であり続けている。

第1版:2026-09-03.



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