高圧経済

定義:high-pressure economy高圧経済とは, 政府が意図的に金融・財政政策を積極的に運営することで, 経済を完全雇用水準[full employment]以上に過熱気味に保ち, それによって潜在成長率の向上や構造的な経済改善を目指す政策アプローチのこと.

この概念は, もともと1970年代にアメリカの経済学者アーサー・オークン[Arthur Melvin Okun,1928-11-28–1980-03-23]によって提唱されたものである.オークンは, 経済を高い需要水準で運営し続けることで, 単なる景気回復を超えた構造的な改善が得られると主張した.

その後, この考え方は2016年にジャネット・イエレン連邦準備制度理事会[FRB]議長[当時][Janet Louise Yellen,1946-08-13–]が演説で取り上げたことで, 現代の政策論議において再び注目を集めることとなった.イエレンは, 労働市場の逼迫が労働参加率の上昇や生産性向上を促し, 経済の潜在能力自体を高める可能性があると指摘し, 高圧経済の有効性を論じた.

政府の意図的な介入により期待される効果は以下の通りである.労働需要の持続的な高まりが, 長期失業者や労働市場周辺層を雇用に引き込む.企業が労働力不足に対応するため, 生産性向上のための投資や訓練を積極化する.労働者のスキル形成が促進され, 人的資本が蓄積される.これらの好循環を通じて, 経済の潜在成長率そのものが恒久的に引き上げられる.

つまり高圧経済は, 政府が景気過熱のリスクを許容しながら, 積極的な需要創出を継続することで, 経済の供給サイドの改善を図る戦略的な政策スタンスである.



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