高市政権は、①給付付き税額控除の導入、②食料品に対する消費税率の引き下げ、③これらを支える財源の確保を一体的に検討する必要があるとして本会議を設置した。会議は、食料品に対する消費税の減税や給付付き税額控除の導入を議論するために設置された超党派の会議体と位置づけられている。単なる税制改正にとどまらず、年金・医療・介護・子育て支援を含む社会保障全体の持続可能性を議論する場として構想されている。
第1回会議は令和8年2月26日に総理大臣官邸で開催され、社会保障と税の一体改革について議論が行われた。会議には政府側から高市総理のほか、木原官房長官、城内全世代型社会保障改革担当相、松本デジタル相、黄川田特命担当相、林総務相、片山財務相、上野厚労相が出席し、政党側からは自由民主党、日本維新の会、チームみらいが参加した。高市総理は、全世代を通じて納得感が得られる社会保障の構築に向けた国民的議論を進める必要性を強調した。
会議は三層構造で運営されている。社会保障国民会議本体(親会議)の下に、政府と各党の実務者による給付付き税額控除等に関する実務者会議と、専門的・技術的論点を検討する有識者会議が置かれ、両者が連携して制度設計を進める仕組みである。実務者会議は機動的な検討を、有識者会議は専門的分析を担う。実務者会議の議長は自民党税制調査会長の小野寺五典衆院議員が務めている。
有識者会議は3月17日に構成員12人が発表され、座長には清家篤・元慶應義塾長が就任した。委員には給付付き税額控除に詳しい日本総合研究所シニアフェローの翁百合氏、第一生命経済研究所の永浜利広氏、宮崎県知事の河野俊嗣氏、経団連副会長・事務総長の久保田政一氏らが名を連ねている。有識者会議では、純負担率や労働供給への影響、所得再分配効果などについて統計データに基づく分析が行われているほか、経済団体や小売業界などからのヒアリングも実施されている。
初会合(2月26日)には自由民主党、日本維新の会、チームみらいが参加した一方、中道改革連合と国民民主党は参加を見合わせ、共産党や参政党などは会議に招かれていない。国民会議は、給付付き税額控除導入に前向きな政党への参加呼びかけという形で発足し、初会合の時点で中道改革連合と国民民主党は参加を見合わせたが、高市総理は引き続き参加を呼びかける考えを示していた。
その後、参加会派は段階的に拡大した。3月18日、中道改革連合が立憲民主党・公明党とともに参加を表明し、3党首会談を経て実務者協議への合流が決まった。続いて3月30日には日本保守党が参加を表明し、期限付きの消費減税案を容認する形で政府・与党が参加を認め、4月8日の実務者会議から同党の北村晴男氏が出席するようになった。国民民主党も途中から参加に転じている。
この結果、4月以降は自由民主党・日本維新の会・チームみらい・国民民主党・立憲民主党・公明党・中道改革連合・日本保守党の8会派体制となり、共産党・参政党は引き続き参加していない。参加各党の間でも、食料品消費税ゼロの是非や恒久化・期限付きをめぐって主張に隔たりがあり、自民党・日本維新の会は給付付き税額控除導入までの2年間のつなぎとして食料品消費税ゼロを目指す一方、中道改革連合・公明党は恒久化を主張するなど、立場は一様ではない。
実務者会議・有識者会議はそれぞれ十数回にわたり開催され、令和8年夏前を目途とした中間とりまとめに向けて議論が重ねられてきた。7月28日、自民党の税制調査会・社会保障制度調査会合同会議は、社会保障国民会議の中間とりまとめ案を了承した。実務者会議では、給付付き税額控除を令和11年度から導入する方向でおおむね意見が一致している。導入までの「つなぎ」措置については、小野寺議長案として、令和9年4月1日から2年間、軽減税率対象の飲食料品の消費税率を1%とし、その財源の範囲内で中低所得の現役勤労者を対象とする所得連動型の給付を先行導入する案が示された。ただし、この議長案について各党の意見の一致には至っておらず、中間とりまとめでは「意見の集約に向けた議論が積み重ねられたが、具体案について意見の一致には至らなかった」と記述されている。
高齢化の進展に伴う社会保障費の増加と国民負担のあり方は、日本の財政運営に直結する課題であり、社会保障国民会議は第二次高市内閣の看板政策である社会保障・税制改革を具体化する中核的な政策協議機関として位置づけられている。中間とりまとめの内容は、骨太方針への反映や今後の法案提出の基礎資料となることが見込まれるが、給付付き税額控除導入までの「つなぎ」措置をめぐる各党間の意見対立は残されたままであり、年末に向けた最終的な制度設計の行方が焦点となっている。
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