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オイラーの公式

\[e^{ix} = cos x + sin x \]

証明の方針

  • \(e^{ix}\) は
    \[e^{ix} = A cos x + B sin x \] というように cos x と sin x の1次結合として表現出来るか。
  • A=1 、 B=i であるか。

証明

\(y_{1},y_{2},y_{3}\) が1次従属である時は、 \[ c_{1}y_{1}+c_{2}y_{2}+c_{3}y_{3}=0 \] において、\( c_{1}=c_{2}=c_{3}=0 \)以外の\(c_{1},c_{2},c_{3}\)の組み合わせが存在する。
逆に1次独立である時は、\[ c_{1}y_{1}+c_{2}y_{2}+c_{3}y_{3}=0 \] において、\( c_{1}=c_{2}=c_{3}=0 \)以外の\(c_{1},c_{2},c_{3}\)の組み合わせは存在しない。
ここで、まず、 \[ c_{1}y_{1}+c_{2}y_{2}+c_{3}y_{3}=0 \] を1回微分する。 \[ c_{1}y^{(1)}_{1}+c_{2}y^{(1)}_{2}+c_{3}y^{(1)}_{3}=0 \] さらに、もう一度微分する。 \[ c_{1}y^{(2)}_{1} + c_{2}y^{(2)}_{2} + c_{3}y^{(2)}_{3}=0 \]

以上の3つの式を行列の形式でまとめる。

\[\pmatrix{y_{1}&y_{2}&y_{3}\cr y^{(1)}_{1}&y^{(1)}_{2}&y^{(1)}_{3}\cr y^{(2)}_{1}&y^{(2)}_{2}&y^{(2)}_{3}}\pmatrix{c_{1}\cr c_{2}\cr c_{3}}=\pmatrix{0\cr 0\cr 0}\]

この3×3行列(W)をロンスキー行列という。
このロンスキー行列に逆行列が存在するならば、

\[\pmatrix{c_{1}\cr c_{2}\cr c_{3}}=\pmatrix{y_{1}&y_{2}&y_{3}\cr y^{(1)}_{1}&y^{(1)}_{2}&y^{(1)}_{3}\cr y^{(2)}_{1}&y^{(2)}_{2}&y^{(2)}_{3}}^{-1}\pmatrix{0\cr 0\cr 0}\] となり、\(c_{1}=c_{2}=c_{3}=0\) となり1次独立ということになる。
ここで、|W|=0 ならば W の逆行列は存在せず、1次従属ということになる。

これらの結果を利用して、\(cos x , sin x , e^{ix} \) のロンスキー行列を求める。 \[\pmatrix{cos x&sin x&e^{ix}\cr -sin x&cos x&i e^{ix}\cr -cos x&-sin x&-e^{ix}}\] このロンスキー行列の行列式は \[\left|\matrix{cos x&sin x&e^{ix}\cr -sin x&cos x&i e^{ix}\cr -cos x&-sin x&-e^{ix}}\right|\] となる。ここで、3行は1行にマイナスを乗じたものとなっている。従って、ロンスキー行列の行列式の値は0となる。
つまり、\(e^{ix} , cos x , sin x\) は1次従属ということになり、 \[e^{ix}=A cos x + B sin x\] と表すことが出来るということになる。

ここで、上式に x=0 を代入すると、 \[e^{0} = A cos 0 + B sin 0\] \[1 = A × 1 + B × 0\] つまり、A=1ということになる。
続いて、 \[e^{ix}=A cos x + B sin x\] を微分すると、 \[(e^{ix})'=(A cos x + B sin x)'\] \[i e^{ix}=-A sin x + B cos x\] 上式に、 x=0 を代入すると、 \[i e^{0}=-A sin 0 + B cos 0\] \[i×1=-A × 0 + B × 1\] つまり、B=i ということになる。

つまり、 \[e^{ix}= cos x + i sin x\] となる。



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Last-modified: 2009-12-29 (火) 14:12:39 (5232d)