前趙[304-329]は中国の五胡十六国時代[304-439]の匈奴系王朝.
後漢王朝の支配下にあった匈奴の単于を輩出する屠各種攣鞮部の出身で,母系に漢王朝帝室・劉氏の血脈を受け継ぐ劉淵[251-310]によって建国された.西晋朝皇帝・恵帝[司馬衷;259-307]の時代に八王の乱[291-306]を起こした八王の一人である成都王・司馬穎[279-306]の幕下にあった劉淵は匈奴五部の一族の劉宣に推戴されて大単于に即位し漢王として即位.漢王朝の血脈を受け継がない漢人王朝の晋王朝に対して,匈奴ではあるが漢王朝の血脈を正統に受け継ぐことを明確にアピールしたのである.
劉淵の跡は子・劉和が帝位を継ぎ,その劉和を弟の劉聡が弑して帝位に就いた.その劉聡の代に前趙は西晋を滅ぼし西晋第4代皇帝・愍帝[司馬鄴;300-318]を処刑.西晋の滅亡により,漢は国号を趙に改める.
同時期に,第5代皇帝・劉曜[275-329;位318-329]と対立した前趙将軍・石勒[274-333]は後趙を興し前趙と対立.華北における前趙の劉曜と後趙の石勒の戦いは石勒の勝利に終わり前趙は滅亡.
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