統計学

ナイフエッジの定理

ハロッドの3つの成長率

  • 現実成長率 G
  • 適正成長率(保証成長率) Gw
     企業家の合理的行動を満足させ、資本設備の完全利用が実現される時に達成される企業均衡の生産成長率。
  • 自然成長率 Gn
     完全雇用を持続し、しかも年々の技術進歩による労働生産性の上昇分を吸収したときに、達成できる最大可能な国民生産物の成長率。

ハロッドの基本方程式

  • 必要資本係数(Cr)
    国民所得を1単位増加させるために生産技術に必要とされる資本量の増加比率
  • 貯蓄率(s)
  • GwCr=s
    I=S
    I/Y=S/Y
    両辺に、Y/Y=1を掛けて、
    (I/Y)×(Y/Y)=S/Y
    ここで、
    I/Y=Cr
    であるから、
    ∴GwCr=s

ナイフエッジの定理

今、現実の成長率をG、事後的貯蓄をSp、現実の資本係数をCとすると、
GC=Sp/Y

ここで、現実の成長率が適正成長率Gwを上回っている場合、
G>Gw ⇒ Sp/C>Sa/Cr
この時、Sp=Saであれば、C<Crとなり、現実資本係数が必要資本係数よりも小さい。従って、追加投資が行われる。すると、実際の成長率もますます高まる。
また、C=Crであれば、Sp>Saとなり、実際の貯蓄率(事後的貯蓄率)が意図された貯蓄率(事前的貯蓄率)を上回る。この時、貯蓄率を下げることは消費を上げ乗数効果によって成長率を高めることに繋がる。結局、この場合でも現実の成長率が適正な成長率を上回り続けることになる。

次に、現実の成長率が適正な成長率を下回っている場合、
G<Gw ⇒ Sp/C<Sa/Cr
この時、Sp=Saであれば、C>Crとなり、現実資本係数が必要資本係数よりも大きい。従って、適正な資本になるまで投資が削減される。すると、実際の成長率もますます低くなっていく。
また、C=Crであれば、Sp<Saとなり、実際の貯蓄率(事後的貯蓄率)が意図された貯蓄率(事前的貯蓄率)より小さくなる。この時、貯蓄を増やすと消費が減少し、乗数効果によって実際の成長率は適正成長率から下方にますます乖離していく。



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Last-modified: 2009-08-26 (水) 14:50:33 (5355d)