情報学 informatics †
情報学は、数理科学、経営工学、認知科学、生物学、言語学、計算機科学、システム科学、および通信工学的アプローチを用いて、人間と社会へのインターフェイス、数理モデリング、および情報システムを通じて、複雑で動的に変化するシステムにおける、情報の生成、認識、表現、収集、組織化、最適化、変換、伝達、評価、制御を対象とする。
- メカニズム・デザイン工学 Mechanism Design Engineering
- コンピュータ computer
コンピュータの5構成要素=入力(input)、出力(output)、記憶(memory)、演算(datapath)、制御(control)
演算(datapath)、制御(control)は合わせてプロセッサ(processor)と呼ぶ。
- アルゴリズム algorithm
問題を解くための決められた手順(=program)。
「明確に定義された有限個の規則の集まりであって、有限回適用することによって問題を解くもの。」JIS X 0001-1987
アルゴリズム(algorithm)という語は、代数(Algebra)と同じく、9世紀アラビアの数学者アル・フワーリズミー(al-Khwārizmī)の著した『インドの数の計算法(Kitāb al-Jām'a wa'l-Tafrīq bi'l-Hisāb al-Hindī,825)』の中の決まり文句「Algoritmi dicti (アル=フワーリズミーに曰く)」を語源とする。
- 計算量 complexity
プログラムを実行するために必要なメモリ容量を『領域計算量(space complexity)』といい、必要な時間を『時間計算量(time complexity)』という。
- 形式言語 formal language
特定の目的のために造られた言語のこと。
素となる記号(=有限の文字集合)と定められた規則(=文字列を変換して別の文字列を生成する規則の有限集合;文法/構文規則/統辞規則)によって帰納的に定義される文字列の集合のこと。
- 論理と計算
- 符号化 coding
Claude Elwood Shannon は 1948年に「情報理論(A Mathematical Theory of Communication)」によって、情報の最小単位はビット(bit)であるとし、現実世界のあらゆる情報はビットに分解されるとした。
- 情報代数 information algebra
ブール(1815-1864)によって考案されたブール代数(=論理代数)は論理を数学的に再構成したもの。ブール代数によって、コンピューターの演算は実現されている。
- 情報幾何 information geometry
情報処理における問題を視覚的に理解するためのフレームワーク。
統計、通信、制御、最適設計、あいまい意思決定、分散コンピューティングに応用される。
- データ分析 data analysis
gnu R
- ゲーム理論 Game Theory
- 計算論的組織論 Computational Organization Theory(COT)
- ICT史 history of ICT
工学とは †
- 技能・技術は人間の知恵・科学技術の集積の上に個別の問題に技術的な答えを出していくもの.
- 工学は、技能・技術の展開を基盤として方法論としての抽象化を試みるもの.
- 工学の合目的性:具体的・総合的な問題解決案の提示.
経営システム工学とは †
ビジネス上の問題に関わる人・モノ・組織・お金などとそれらの因果関係を明確にすることによって問題を把握し、把握した問題に対して解決策の提示を支援する技術群を経営システム工学という。
経営システム工学の源流は経営工学にある。
この経営工学は、科学的管理法から発展した管理技術、経営管理。動作時間研究から発展した生産技術、人間工学。H.フォードの大量生産方式から発展した生産技術、生産管理。ホーソン工場の実験から発展した行動科学、産業心理学。そして、英米の戦略研究から発展したオペレーションズリサーチ、経営科学から構成される。
経営システム工学は、これらの経営工学の分野にコンピュータと通信の急速な発達およびそれらの応用とシステム技術の進歩といった経営に大きな影響を与えている関連分野を融合したものである。
数理工学とは †
数理工学の個々の研究は、工学の諸分野のみならずさらには自然・人文・社会科学などの多様な対象分野に実在する興味深い(と個々の研究者が思う)諸現象からスタートする。
これらは、実世界に存在する生の現象であるため、多くの場合、様々な要素や原因・結果が絡み合った複雑で泥臭く混沌とした状況で与えられる。
次に、この実現象の背後にある本質的な数理構造をモデル化し、数理解析を行うための問題設定を行う。
この際、一般にはこのような複雑実現象のモデル化・問題設定はユニークに決まるものではなく、研究者の視点、プロージビリティ、適切なモデルとは何かといった様々な要因に左右される。
このようにして問題がいったん設定されれば、多様な数理的手法を駆使して、その問題を理論的もしくは数値的に解くことになる。
(中略)
さらに、この一問題解決に留まらずに、この数理的アプローチを一般化して分野横断的な普遍性を有する数理的方法論の体系化を目指すことが、(中略)数理工学の真髄である。
出典:合原一幸・室田一雄、「数理工学とは何か?」、数理科学 2002年12月号、サイエンス社