19世紀建築19世紀のイギリスで始まった産業革命は世界中を工業化の波で洗い、効率性を工学的に追求した。効率の究極の姿としての規模の経済の追求は画一化という名の世界市場を成立させた。 経済において急速にアイデンティティが失われていく反動として、各国ではそれぞれの国らしさを求めた建築表現が勃興する。 ここにおいて、新古典主義的な原理主義的な建築は後退していった。 ドイツでは新古典主義に考古学的正確性を付加したギリシア様式復興が叫ばれ、イギリスではピクチュアレスクの伝統のもとにゴシック・リバイバルが勃興する。 アイデンティティを確立するために、歴史上の様々な様式が研究され、分類され、適用されていった。 しかし、その一方で、工業化の波は建築の世界にも着実に押し寄せ、建築の構造は画一化された工学の支配するところとなる。 こうして、様式は構造から分離され、建築の表面上へと追いやられていった。
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