笠森観音千葉県は長南町にある古刹。開基は天台宗の開祖・最澄上人(767-822)で784(延暦3)年のこと。 最澄上人自らが十一面観世音菩薩を刻んで安置したという伝承を持ち、天台宗の別格総本山となっている。見所は何といっても日本唯一の四方懸造の観音堂。後一条天皇の勅願によって1028(長元元)年に建立された。 この四方懸造というのは良く知られている京都の東山の清水寺に似ている。但し、清水寺の場合は一方が山に支えられて崖の上に立っている。 これに対して、笠森観音は岩の上にタワーのように61本の柱によって屹立している。 後一条天皇というのは藤原道長の娘である中宮彰子と一条天皇の間に産まれた天皇であり、その治世は藤原道長が摂政として権勢を振るった時期に当たる。 その治世に観音堂を建立したのは獅子ヶ瀬の出身で、玉前明神の神託によって開催された上総府中市原の田植祭で見出され朱雀天皇(930-946)に仕えた於茂利という女性という。 もっとも、現在の観音堂は安土桃山時代に再建されたもの。 2010年2月14日(日) 訪問
|