[2002年11月21日(木)]
■(岡三経済研究所)輸出息切れで景気回復はピークアウト
02年度の実質経済成長率は+1.1%。しかし、03年度の成長は0.2%の減に。
外需の息切れと社会保障関係費見直しによる家計負担増で消費の伸びも期待薄。
民間設備投資は1.1%の減。

■(三井トラストH)02年度は0.4%、03年度は0.5%の成長。
設備投資は03年度にプラスに転じるも、米国経済の不透明感から回復は弱い。
設備投資は02年度5.2%減に対して、03年度は0.9%の減。

■輸出は、そんなに悪いのか?
「貿易統計http://www.customs.go.jp/toukei/shinbun/happyou.htm」によると、
10月上中旬 10.4%増
9月上中旬 12.4%増
8月上中旬 4.2%増
7月上中旬 9.7%増
6月上中旬 8.5%増
と足元では減少傾向はないように見える。
しかし、季節調整済の数値で見てみると、
9月 2.2%減
8月 0.5%減
7月 0.5%減

また、数量指数ベースでみると、
9月 9.2%増
8月 11.9%増
7月 14.7%増
6月 10.4%増
と、少なくとも増加基調ではない。

なお、米国向け輸出が占める割合は28%(年度上半期)。
NIES+ASEAN向けは37%。
但し、NIES+ASEAN向けは間接米国依存型。

ちなみに、「日本のIT輸出」は「米国のIT輸入」「アジアのIT輸出」と高
い相関があることを考慮すると、輸出のうち28%と37%の多くは米国景気に依存
する。そして、米国のI(C)T輸入はI(C)T投資と高い相関にある(96年から01
年で0.89)。

■米国経済
ICT在庫循環も、通信を除いて4-6月で一巡している。
そして、ICT投資は4-6月で、00年7-9月以来6四半期ぶりに増加。
しかし、ICT投資比率は持ち直しが見られない。
http://www.bea.gov/

■(ニッセイ基礎研究所)
外需主導の「回復」は輸出の息切れと設備投資の回復の遅れによって短命に。
2002年度1.0%、2003年度は0.1%成長。
http://www.nli-research.co.jp/stp/gdp18/tanki_0211.html
⇒対イラク戦が短期間集結なら米国景気回復=日本にプラス。
⇒設備投資は、02年度4.5%、03年度2.1%の減少。

■民間設備投資の先行指標となる「機械受注」は8月3.2%減、9月7.8%増(季節調
整済前月比)。
10月から12月の見通しベースでは、「船舶・電力を除く民需」で6.5%減と厳しさ
に変化なし。
http://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/juchu/0209juchu.html

■(日本政策投資銀行)
03年度の民間設備投資は製造業で3.9%減、非製造業(除電力)で6.2%減。
http://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/juchu/0209juchu.html
IT投資については「計画値」は公表されていません。しかし、過去の
実績値は公表されていますので、その値の時系列の乖離率をもって推測すること
が可能です。


■(NRI)経済環境は、10−12月以降は大きく変化する可能性が高い。
輸出主導で年初から順調な回復軌道を辿ってきた日本経済は、今後はゼロ近辺で
の成長ペースにとどまる「踊り場局面」に。
http://www.nri.co.jp/news/2002/021119.html
※鉱工業生産指数の「在庫循環」の変調が見られます。
このことは、
http://www.meti.go.jp/statistics/index.html
で、在庫=出荷の推移を「在庫循環図」にプロットすると容易に確かめることが
出来ます。

■(MRI)緩やかな回復過程を辿る日本経済だが、リスク要因が高まる中、景気は03
年度中のピークアウトも。実質成長率は2002年度0.2%、2003年度0.9%
http://www.mri.co.jp/NEWS/2002/pr02111500.html
⇒設備投資がひとまず底入れ?
⇒在庫・生産の循環をみると当面は増産基調が続く?
同じ統計をもとに判断しているわけですが、ニッセイなどとは見方が異なってい
ます。但し、この見方は「不良債権処理の加速」が条件とされるシナリオに基づ
いているようです。

■Top IT Spending Priorities for the Next 18 Months.
2002年6月から2003年12月の18ヵ月。
(1)Security 36%
(2)E-Commerce 35%
(3)CRM 33%
(4)ERP 31%
(5)Data warehouse 28%
(6)IT standardization 24%
(7)Web services 23%
(8)process mng 19%
(9)collaboration 15%
(10)SCM 14%
(11)Wireless app 11%
(12)Upgrade 02%
(13)Infra 01%

出所:Gentronics,IDG Research,CIO Magagine(02/10)
サンプル数は458。対象は独、伊、西、仏、英、蘭。

■ICT(Information and Communications technology)と生産性について
Finland、Ireland、Sweden、USAでは90年代前半よりも後半のほうが生産性上昇に大きく寄与。ドイツはイーブン、日本は微妙。
http://www.statistics.gov.uk/articles/nojournal/paper_1_International_comp.pdf

■ICT支出統計(英国)
Mesenbourg T. Measuring Electronic Business:Definitions,Underlying Concepts, and Measurement Plans.
http://www.census.gov/epcd/www/ebusiness.htm
米国やカナダではICT統計が整備されています。英国でも日本よりは整備が進んでいるといったところ。

なお、日本におけるICT統計に関しては、
■IT関連統計資料集(H14年版)
http://www.stat.go.jp/data/it/index.htm
世帯、企業、行政、学校などの分類で整理されています。
公式統計ですので、そのままでは使用出来ません。調査会社の商業データの信頼
性をチェックするときの材料としては有用です。

■IT関連統計・資料リンク集
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/others/it_link.html
IT戦略本部の編集による統計リンク集です。

■取り組みに関しては。
http://www.esri.cao.go.jp/jp/archive/hou/hou010/005.html
日本でも、機器に関しては「生産動態統計」で「ICTの在庫循環図」は描くこ
とが出来ます。
マクロの「ICTの在庫循環図」と各企業の財務諸表からの「在庫循環図」を比
較するということは出来ます。

■JMR:ブロードバンド時代の次世代端末戦略とライフスタイル提案競争
http://www.jmrlsi.co.jp/menu/report/2002/tanmatsu.html
エンターテイメントライフを追求するソニー、
ワイヤレスネットワークライフを追求する東芝、
アクティブモバイルツールを追求するシャープ、
テレビを基軸としたデジタルライフ(「つなぐともっと面白い」)を模索する松下の戦略。

■野村総研:ブロードバンド利用者が3人に1人を超える −情報通信利用に
関する第12回実態調査を実施−
http://www.nri.co.jp/news/2002/021120.html
層化二段無作為抽出法、全国15〜69歳の男女2,400人を抽出、訪問留置方式で
2002年9月に実施。
「ユビキタス比率」は7.8%へ。
「ユビキタス比率」:「携帯電話単体と自宅のブロードバンドの両方でインター
ネットを利用」する比率。