行政法の適用範囲

公法・私法二元論

公法国や地方公共団体と国民との間で適用される法律規定のこと.
私法国民同士の間で適用される法律規定のこと.

実体法を公法体系と私法体系に二分し、法律規定を公法規定に属するのか、私法規定に属するのかによって結論を演繹する解釈手法を公法・私法二元論という。

公法関係における権利[公権]は一身専属的と考えられ、譲渡・放棄・差押え・相殺の対象とはならないとされる[公権の不融通性]。

もっとも、判例は単純な公法・私法二元論は採用していない。例えば、私法関係と類似性がある公法関係に関しては、民法177条[不動産に関する物権の変動の対抗要件]の類推適用されると考えられる。

事案民法適用
国税滞納処分の差押え[最判昭31.4.24]
公営住宅の使用関係[最判昭59.12.13]
自治体の契約と双方代理[最判平16.7.13]
農地処分と民法177条[最判昭28.2.18]×
公営住宅法と相続[最判平2.10.18]×
建築基準法65条と民法234条[最判平元.9.19]×

行政法規違反の私法上の効力

強行法規法律行為としての効力を規制することを目的とする規定.
取締法規事実としての行為を禁止・命令する規定.

私法上の効力
強行法規違反無効
取締法規違反必ずしも無効とならず

posted by N.T.Vita brevis, ars longa. Omnia vincit Amor.

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