[被害者の同意]

傷害行為 ━━→ 一部=同意のみで不可罰 → 困 難
                        ↓
                     不当な結果になるのでは?
                        ↓
                   重大な傷害の場合は殺意認定可能
                   ∴ 不当な結果とならない
                                    ↓
             同意ある限り傷害行為はすべて処罰されない!

  違法行為類型である構成要件該当性の判断というのは、処罰に値する法益侵害があるかどうかの判定のためのものだといえます。そうすると、本人が放棄した利益を刑法によって保護すべきかどうかということは構成要件該当性の判断の問題だということになります。この点、個人の自己決定権は最大限に尊重されなければならないということは言うまでもないことです。従って、個人的法益に関する限りにおいては、被害者の承諾があれば刑罰をもって保護すべき法益はなく(利益欠如の原則)、構成要件該当性は認められないというべきでしょう。
 こうした考え方に関しては、生命にかかわる重大な傷害のような場合には被害者の承諾を以ってしても違法性を阻却しないという考え方があります。
 しかし、そもそも生命にかかわる重大な傷害であるということを認識しているならば殺意を認めることが出来るので不当な結果とはならないでしょう。加えて、傷害罪には202条のような例外規定はないことからすると、生命以外の個人的法益については構成要件該当性は否定されるというべきでしょう。