[中止犯における任意性の要件]

中止犯=(任意性)自己の意思でやめたことが必要
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          ┣━(政策説)任意性の要件=結果防止目的に合致するように考えるべき
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  ┃      ┗━(責任減少説)通常やめるべき事情があった場合
 ┃             → 責任非難を加えるのに十分
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  ┗━━→ 社会通念上一般に障害にならないのに止めた場合
                  → 任意性の要件を満たす

 中止犯が成立するためには「自己の意思」でやめたといえなければなりません(任意性の要件)。
 この任意性の要件については、行為者の表象が一般人にとって通常犯罪の完成を妨げる内容であると判断される場合ということを意味していると考えられます。
 そもそも、中止未遂の根拠は責任減少と政策的要請に求められます。とするならば、「自己の意思」という主観的要素は責任要素だということができます。そして、犯罪防止のために刑法が有効に機能していくためには、国民の非難意識からみて納得できるものでなくてはなりません。従って、「自己の意思」の判断は一般人を基準とするべきということになるのです。
 また、政策的要請ということを考慮しても、一般人なら通常結果を回避すると思われるような場合には、報償を与える必要性はないといえます。