[ 内 閣 ]
■内閣
+■行政権   (1)行政権(§65)の意義 実質的意味の行政権とは ?

行政権(§65)の意義
消極的控除説(通説)行政権とは、全ての国家作用から立法作用と司法作用を除いた残りの作用であるとする説。
積極説行政権とは、法の下に法の規制を受けながら、国家目的の積極的な実現を目指して行なわれる全体として統一性を持った継続的な形成的活動であるとする説。
折衷説全国家作用のうち対国民的作用関係での控除説や執行作用からの控除説がある。

形式的意味の行政権制度的にみて行政機関が行う作用のこと。
実質的意味の行政権行政機関が行うべき作用

  (2)§66Vの『行政権』とは ?
独立行政委員会の合憲性にかかわる66条の行政権の意味
憲法65条はすべての行政を内閣のコントロールの下におくものとする説独立行政委員会も内閣のコントロール下(任命権・予算権)にあり、合憲とする。
憲法65条は、一定の例外を認めていると考える憲法41条は国会を「唯一」の立法機関とし、76条は司法権が「すべて」最高裁判所及び下級裁判所に属するとしている。しかし、行政権に関してはこのような文言がない。加えて、権力分立との関係において、行政権が内閣に属するというのは内閣に立法権と司法権が属しないということを規定したものに過ぎない。また、民主的責任行政確保という観点からは、国会が直接コントロールしうる体制になっているか、職務の性質上内閣にも国会にもコントロールに適さないものである場合には、内閣の責任を問いえないとしても問題にする必要はないとする説。

  (3)行政権の特徴 国家目的積極的実現、総合的な政策を配慮・決定
行政権の特徴
(A)「法律を誠実に執行する」(73条1項)という事務を通じて「国家目的の積極的実現に努めるべき職責」を負うこと。
(B)「国務を総理ずること」(73条1項)。
(C)「継続的かつ能動的・積極的に活動する」こと。

  (4)行政国家現象 意義、行政権を統制する方策 
   ※司法の抑制の必要性 ←→ 立法の委任・内閣の法案提出権

+■議院内閣制
  (1) 議院内閣制の本質 責任本質説、均衡本質説、解散権との関係 cf.本質的要素に解散権を含むか ?
  
責任本質説(通説)議院内閣制に共通する本質的要素は内閣の対議会責任であるとする説。この説に立つと、議院内閣制とは、議会と政府とが分立し、議会に政府の存立を左右するほどの優位が認められ、政府の存立と存続について議会の信任に依拠する統治制度ということになる。
均衡本質説議院内閣制は元来君主と議会との権力の均衡を狙って成立した政治形態であるということを重視する説。 この説によると、議院内閣制は議会と内閣が分立しているものの、内閣は議会の信任に依拠している一方で、内閣が議会の解散権を持つというように、内閣と議会との間に連携と均衡の関係が内包されている制度だということになる。

  (2) 議院内閣制の現代的意義 政党国家下における議院内閣制とは ?

+■衆議院の解散
  (1) 解散権の根拠 §69限定説、§69非限定説/§7説、§65説、制度説、自律解散説
69条限定説 解散の実質問題について69条にしか規定がないということは、69条の不信任決議が可決された場合に限って解散を認める趣旨であると考える説。
非限定説 65条説 控除説の立場から、解散権は立法府にも司法府にもないから行政府たる内閣の権限であるとする説。
制度説 権力分立および議院内閣制ということを考えるならば解散権は制度的に行政府たる内閣に属するとする説。
7条説(通説) 7条3号から内閣の助言と承認権に根拠を求める説。
自律解散説 69条以外に衆議院が自律的に解散するということを認める説。

  (2) §7説は『助言と承認』にいかなる意味をもたせるか ?
  7条に列挙された国事行為の中には,本来形式的・儀礼的行為として位置付けられるものと、本来は政治的行為であるけれども内閣の助言と承認に基づかなければならないことの結果として内閣の実質的決定が行われ、その行為が形式的・儀礼的になるものがある
  (3) 解散をなすための要件 衆参同日選挙は許されるか ?
 解散は69条の場合を除くと、(a)衆議院で内閣の重要案件が否決または審議未了の場合、(b)政界再編成等により内閣の性質が基本的に変わった場合、(c)総選挙の争点でなかった新しい重大な政治的課題に対処する場合、(d)内閣が基本政策を根本的に変更する場合、(e)議員の任期終了時期が接近している場合などに限られると考えられる(芦部説)。

   ※§69以外でもよいとして無制限に行使しうるか ?

+■独立行政委員会
  (1) 意義、必要性、具体例(人事院、公正取引委員会 etc)
   独立行政委員会=内閣から独立して職務を遂行する合議体の行政機関。通常、準立法権及び準司法権も併せもっという特徴を有している。
  (2)合憲性 権力分立との関係、民主的責任行政との関係 cf.『行政権』にすべての行政権を含めるか ?
  (3) 準立法作用と§41との関係 独立行政委員会への立法の委任
  (4) 準司法作用と§76との関係 実質的証拠法則との関係

+■内閣の組織
  (1) 内閣総理大臣の職務権限 cf.ロッキード事件最高裁判例
  (2) 総選挙後、新国会招集までに内閣総理大臣が欠けたとき